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:::Nebula†Garden…ホガラカDiary:::

◇ドッペルゲンガー


【二次創作書庫…ikki*shun】

...ドッペルゲンガー...ikki*shun


 誕生日に一緒に居てやれないないのは一輝とっても心が痛む。
 しかし、仕事のスケジュールを鑑みるに、出立の日をずらす事は無理だった。
 「…誕生日は毎年あるんだもん。兄さんと食事にも行けたし全然問題ないよ?」
 珍しく聞き分けの良い瞬の横顔は、しかし、憂いを羽織って悄然としていた…。
 シャワールームから出てきた一輝は、いい加減にバスローブを羽織ってベッドに腰掛けた。
 宿泊するホテルの部屋からは、遠くギザのピラミッド群が望める。
 「俺の性分に問題があるのは解ってるんだがな…。」
 夕陽をバックに重なる三角のシルエットを眺めながら、一輝はボソリと呟いた。
 開いて床に置いたままにしていたスーツケースの中から着替えを掘り出す。
 バスローブのまま過ごすのは趣味ではない。

 ゴロンッ…

 と、覚えのない鈍い質感が絨毯の上に転がった。
 ギョロリと見開かれた緑色の瞳が一輝を凝視する。
 「何だ!?」
 睫は長いが眉が無い…。
 グレープフルーツ大の頭に不釣合いに小さなボディー…。
 体長30センチほどの人形だった。
 しかし、その瞳の色と亜麻色のレイヤーヘアーが、どういうわけか瞬を連想させる。
 拾い上げ、耳を押し当ててみるが不振な音声は認められない。
 振ってみても特に怪しい重さを感じなかったが、人形の後頭部から紐で繋がったプラスチックの
 リングがぶら下がっていた。好奇心に駆られ引っ張ってみると、大きく見開かれた瞳が閉じ、
 離すとまた開いて、あろう事か瞳の色が変わっていた…。
 「ふん…(気色の悪い人形だな…誰が……!)」
 足元に小さなメッセージカードらしきものが落ちていた。

 ‘お仕事お疲れさまvvv
 どうか身体に気を付けて。
 帰国の日を楽しみに待ってます。
  !浮気なんかしたら許さないからね!
 -瞬-’

 「…あいつ…何考えてるんだ…。」
 脱力し、衣類の間にねじ込もうとしたが、髪を振り乱して埋まっている姿を見たら不憫になって、
 また引っ張り出してしまった。
 「なんてバカバカしい事を…#」
 力無い独り言を放ちながら、一輝は後頭部からぶら下がっているリングに指をかける。
 色の変わってしまった目をグリーンに戻してベッドサイドのテーブルに座らせると、
 間接照明の光の具合のせいか、人形の瞬は満足気に微笑んでいるように見えた。

 =END=

[2006/09/11]...by.che*myun



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